建設業許可の申請を行う際、専任技術者として指定する人は一定の要件・経験などがあることを書面によって証明しなければなりません。
証明資料として求められるものは通常、主に以下のような書類になります。
「専技」の現在の常勤を証明するもの
1.住民票の写し(原本)
住民登録している役所から、住民票の写し(抄本)を取得して添付します。許可申請の際、発行から3ヶ月以内であることを求められますので、あまり早く取得しすぎてしまうと、他の資料を揃える過程で無効となりかねませんのでご注意ください。本籍地の記載は不要です。
住民登録をしている住所が専技となる建設業者から遠隔地にあると、常勤性の確認できる他の書面で証明を求められることがあります。たとえば、通勤定期券を購入しているかとか、別に建設業者の近隣に居所を賃借していることがわかる賃貸借契約書などがこれにあたります。
2,健康保険被保険者証の写し(コピー)
社会健康保険証、国民健康保険証、後期高齢者医療被保険者証などがこれに該当しますが、健康保険被保険者証にこれから許可を得ようとする会社名が記載されていないときは、加えて次のような証明資料を求められます。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写しまたは健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し(原本の提示を求められます)
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し(原本の提示を求められます)
- 受付印が押印されている確定申告書(法人は表紙と役員報酬明細の写し、個人は第一表と第二表)の写し(原本の提示を求められます)
- その他、常勤が確認できる資料(状況に応じてのため、要相談)
出向社員の場合、出向協定書など別途資料を求められます。
技術者としての要件を確認する資料
要件を確認するための資料としては、まず第一に携わっていた業種内容とその期間が確認できる資料が必要となります。これは主に以下のような3つの資料のいずれかで証明することになります(国家資格等で証明する場合、期間は問われません)。
専任技術者を国家資格以外で証明するときは、どのような資料を何と組み合わせて証明する必要があるのか、かなり判断しにくいことも多いです。
1.国家資格等で証明する場合は合格証や免許証
専任技術者の要件を国家資格等で満たすときは、その国家資格の合格証や免許証の写し(コピー)を添付します。添付はコピーで足りますが、合格証や免許証は申請の際に原本を確認されます。
2.大臣特認の場合は認定証の写し
専任技術者の要件を大臣特認で満たすときは、大臣特認の認定証の写し(コピー)を添付し、申請の際に原本を提示することになります。
※大臣特認はきわめて特殊であるため、この2番目の要件で専任技術者を証明することはほとんどありません。
3.実務経験を確認できる資料
専任技術者の要件を実務経験で満たすときは、以下のような証明資料を求められることになります。
- 証明者が建設業許可を有している(いた)場合
建設業許可申請書及び変更届出書の写し - 証明者が建設業許可を有していない場合
業種内容が明確にわかる工事請負契約書、注文書、請求書等の写し
証明者が建設業許可を有している(いた)場合とは
これはつまり、建設業許可を受けている(いた)会社で、技術者として一定期間働いていた経験がある場合のことを指します。
証明者が建設業許可を有していない場合
こちらは、例えば建設業許可を受けていない会社で技術者として働いていた場合や、個人事業主または一人会社の社長などで許可を受けずに技術者として一定期間働いていた経験がある場合などのことを刺します。
許可を有していない場合での証明は、相手先会社印が押してある注文書が期間分用意できれば比較的簡易ですが(簡易といっても、10年分証明するときなどはそれだけでも揃えるのが大変ですが)、注文書などがなく自社発行の請求書だけが残っているという場合などは、その請求書だけでは証明にならず、請求額に応じた入金が本当に存在したのか、金融機関の通帳などを原本提示(コピー提出)して証明しなければならなくなるため、その準備だけでもかなり手間のかかる作業となります。
実務経験証明期間の常勤性を証明する資料
技術者としての要件を確認する資料としては、上記のような業種内容と期間を判断するための資料の他に、その間間違いなく常勤していたことを確認できる資料も別途添付して証明しなければなりません。
これは当たり前といえば当たり前のことですが、たとえ注文書などでこれから許可を受けようとする業種の工事をコンスタントに請け負っていたことが証明できたとしても、その期間間違いなくその会社に在籍していなければ、結局のところ技術者としての経験を証明することができないからです。
過去の常勤を証明する資料とは
この過去の常勤性を証明する資料として、たとえば、以前の職場で厚生年金に加入していたなら、厚生年金被保険者記録照会回答表(年金事務所が発行してくれる書類です)などが該当します。この書類には、以前の会社名と在籍期間が記載されているからです。
このような過去の常勤性の証明資料としては、前述の厚生年金被保険者記録照会回答表を含め、以下のような書類が利用可能です。
- 健康保険被保険者証の写し(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在籍している場合に限ります)
- 厚生年金被保険者記録照会回答表(事業所名が記載されているもの)
- 住民税特別徴収税額通知書の写し(期間分の原本提示が必要です)
- 受付印が押印されている確定申告書(法人は表紙と役員報酬明細の写し、個人は第一表と第二表)の写し(原本の提示を求められます)
出向社員の場合、出向協定書など別途資料を求められます。