建設業許可の申請をする際、財産的基礎または金銭的信用の要件を証明する資料として利用することがもっとも多いのが、金融機関から発行してもらう残高証明書です。
残高証明書が不要な場合
財産的基礎または金銭的信用を証明する手段として利用の多い残高証明書ですが、下記のいずれかを満たす場合には、そちらで証明ができてしまうため残高証明書を取得する必要はありません。
自己資本が500万円以上あること
法人では貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額をいいます。この額が500万円を超えている場合には、残高証明書で重ねて証明する必要がなくなります。
新設法人でまだ決算を一度も行っていない会社は、資本金が500万円以上あれば原則、自己資本が500万円以上であるとみなされ、残高証明書は取得しなくても済みます。
直前5年間許可を受け継続して営業経験がある場合
建設業許可を更新する際、更新前5年の間、許可を受けて継続して営業した経験があれば、残高証明書は不要です。言い換えれば、許可を取ってから普通に営業を続けていれば、更新の際に改めて500万円以上の要件を証明する必要はなくなるということです。
5年間続けてきた実績によって、それだけの財産的な基礎があるとみなしてもらえるということになります。
残高証明書の有効期限
建設業許可の申請においては通常、他の公的な資料は発行から3ヶ月以内のものであれば認められていますが、東京都の場合、残高証明書は発行から1ヶ月以内のものを提出しなければなりません。この日付ですが、残高証明書を銀行から渡してもらった日ではなく、残高を証明した日(発行日)から起算されるのでご注意ください。
たとえば4月1日付(つまり4月1日発行)の残高証明書を金融機関に依頼した後、実際に残高証明書が手渡されるのは数日から2週間程度かかります。仮に4月10日に入手できたとしても、残高を証明した日は4月1日なので、有効期限は4月30日までしかありません。
金融機関によってかなりの日数がかかることもありますから、建設業許可の申請をする際の残高証明書は、他の申請書類や添付資料がほぼ整った後、最後の段階で発行してもらうほうが安心です。
都市銀行でも信用金庫でも可
建設業許可の添付資料として利用する残高証明書は、都市銀行のものに限りません。信用金庫のものでも、500万円以上の残高が証明できれば利用可能です。また、複数の金融機関を並行して利用されている建設業者の方も多いと思いますが、複数金融機関がそれぞれ同日付で発行した残高証明書の合計額が500万円を超えるのであれば、許可申請での利用が可能です。
ただし、行政庁(都道府県)によっては複数金融機関による同日発行の残高証明書を認めない場合もあるようですから、この方法を利用する場合には予め窓口等でしっかり確認を取っておきましょう。